はなくそモグモグ

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どっちでもいい議題にそれっぽい答えを出す方法【マシュマロ回答】

どうも、最近新興宗教の教祖になりたい男、ぎ~くです。

マシュマロをTwitterに置いたら、フォロワーが100人程度しかいないにもかかわらずそこそこ質問が来るのでアウトプットのトレーニングになって助かってます。

日常的に思い浮かぶ諸問題について、わりと僕は結論を自分の中で出す方なので、同じテーマを聞かれたときには既に答えを用意してある。みたいなことがよくあったりします。

ですが教養のない教養主義者である私には当然全く知らないテーマ、考えたこともない議題はいくつもあります。それでも一応それっぽい答えを出して回答していますが、それを俯瞰して「こいつ口八丁で適当コいてんなぁ~~」と思いながら自分を見ています。

 

陰謀論見るの好きなので「芸術作品を汚す環境活動家達は石油会社に雇われたペイドアクター(やらせ)」だという説を45.45%くらい信じてるんですけどぎ〜くさんは彼らについてどう思いますか?

marshmallow-qa.com

 

今回頂いた質問がまさにそうです、いわゆる環境左翼(環境カルト)がどのような利害関係をもって行動しているか。については面白いテーマではありますが、自分は考えたこともありませんでした。

「芸術作品を汚す環境活動家達は石油会社に雇われたペイドアクター(やらせ)」か否かについては、質問者さんには申し訳ないですが、個人的には何ともおもいません、正直どっちでもいいです

 

ならばせっかくなので、僕が普段どのようにして答えを導いているのかに着目して、思考をトレースしていこうかなと思い立ちました。

 

 

まず着手すべきは、一貫した筋の通る説明を仮置きすることです。

この場合「芸術作品を汚す行為によって石油会社に得をすることは何か?」をまず考えます。

ちなみに僕は全く思いつきませんでした。

 

こういうときは、相手の言い分を聞きます。

"相手の内在的思考をエミュレーションする"というやつです。

 

なんか誇張した言い方になりましたが、要はネットサーフィンするだけです。

するとそれっぽい箇所を見つけました。

ジャスト・ストップ・オイルは、英国政府が推進する新しい化石燃料プロジェクトに反対している。彼らが発表した声明の中で、活動家のハンナ・ハントは、政府が「石油とガスに関わる新規認可を停止するという意味のある声明」を出さない限り、こうした行動は終わらないだろうと述べている。

環境活動団体ジャスト・ストップ・オイル(Just Stop Oil)がゴッホなどの名画に手のひらを糊付け!? 理由と目的に迫る|ARTnews JAPAN

着目すべきは"新規許可"という箇所です。

つまり、「既存の石油会社が、他の会社を石油事業に新規参入させないために、環境活動家を使って新規許可を停止させるように活動させている」

したがって「芸術作品を汚す環境活動家達は石油会社に雇われたペイドアクター(やらせ)」である、という一貫した筋の通る説明になりました。

 

はい、なんかそれっぽい感じになりましたね。

ある仮説に基づいてそれを補強する情報で肉付けして、筋の通る説明にする。

ここまでならそのへんの人でも無意識にやっています。

これをフェーズ1としましょう。

問題は「ここまでしかやらない」ことにあります。

有名人やインフルエンサーは何か喋ったら肯定されるので、フェーズ1で止まった仮説を披露しても「一応筋が通っている」ので称賛されます。そして拡散された後に有識者に見つかり「全然ちげーよ」と叩かれます。

 

したがって、フェーズ2ではこのでっちあげた筋の通った説明の穴を探ります。

僕がぱっと思いついた反論は

・では既存の石油会社に環境活動家が攻撃しに行ったケースは存在しないのか

です

レスバトルにおいても(フェーズ1が相手の主張だとして)同じ着眼点でソースを探し、それが見つかればそのまま反論材料として使うことができます。

その観点から情報を集めると、このような記事が見つかりました。

 

www.fnn.jp

 

普通に大手石油会社も攻撃されています。

シェル社(旧称ロイヤル・ダッチ・シェル)とはイギリスのロンドンに拠点を置き、第二次世界大戦後から1970年代まで、世界の石油の生産をほぼ独占状態に置いたセブン・シスターズ7社の内の一社であり、売上高でヨーロッパ最大のエネルギーグループである。(Wikipedia詠唱)

なるほど、教養がないのでシェル社のことは知りませんでしたが、スタンダード・オイル社に並ぶセブン・シスターズの内の一つであると。スタンダード・オイルはかの有名なロックフェラーが作った会社ですね。

こんな感じで知識も増やしつつ、「既存の大手石油会社が自分達の既得権を守るために、環境活動家を使って新規許可を停止させるように活動させている」という説明では不十分であることがわかりました。

ですがここがポイントです、フェーズ2の反論によってフェーズ1の仮説が不十分であるからといって「芸術作品を汚す環境活動家達は石油会社に雇われたペイドアクター(やらせ)である」という命題そのものが否定された、ということではありません。

結論を焦ってはいけないのです。

大抵の人間は、結論を焦って正しいか間違いかをすぐに下したがったり、自らのイデオロギーや生活保守思想によって結論を捻じ曲げたりします。

この場合は、僕が思いつく限り二択です。

 

A.フェーズ1の仮説が苦しいので棄却する(環境活動家はペイドアクターではない)

B.フェーズ2の反論を経てなお、フェーズ1の仮説が成り立つ場合を考える

 

A.だと記事が終わってしまうので、B.について考えてみましょう。(普段はこのような分岐を同時並行で考えたり、網羅的に一つ一つ考察します。)

「既存の石油会社が、他の会社を石油事業に新規参入させないために、環境活動家を使って新規許可を停止させるように活動させている」という仮説は、新規参入企業のみを対象としていましたが、競合の大手石油会社も攻撃するものとして対象を範囲を拡大すれば成り立ちそうです。

したがって仮説は以下になります。

「既存の石油会社Aが、既存の競合他社や新規参入企業を排除するために、環境活動家を使って新規許可を停止させるように活動させている」

下線部はフェーズ1との差分です

 

このように仮説を拡張すれば、上記2つの記事の整合性がとれます。

実際のレスバトルにおいても、このようにして持論を矛盾から逃します。

対人でやれば議論、一人でやれば考察になるのです。

どちらの場合においても、質のいいラリーを返せないと考察は深まりませんが

 

では、フェーズ2では上記のような仮説が得られました。

フェーズ3ではこの仮説の反論を考えます。

このようにして以後このサイクルをずっと繰り返していきます。

これを繰り返せば繰り返すほど、考察は深まります。

だから「頭がいい」とかいうのは大抵の場合幻想だと思います。この手間をかけるかかけないかに過ぎないからです。

もちろんそのハードウェア的知能の性能によって、このサイクルを早く回せたり並行できたりというのがありますが。

 

フェーズ3を考えるにあたって、まず情報の不足を解消しましょう。

この作業はいつやっても構いませんが、ある程度思考を回してからのほうが必要な情報が絞れている状態になっていると思います。

欲しい情報は以下の3つです

 

①:環境活動家の主な活動拠点・範囲はどこか

②:①の範囲内に存在する石油会社はあるか

③:そもそも、環境活動家に金銭的支援をしている事実はあるのか

 

フェーズ2で得た仮説「既存の石油会社Aが、既存の競合他社や新規参入企業を排除するために、環境活動家を使って新規許可を停止させるように活動させている」においては、競合他社や石油会社Aの可能性足りうる範囲を拡張したこともあり、この範囲については、ある程度ファクトによって制限しておかなければキリがないため②を規定。

②を規定するためには①を規定する必要があります。環境活動家のいない地域の石油会社を調べても今回の論点とは関わりがないからです。

①,②である程度範囲を同定できれば、③の情報が特定や手がかりに繋がります。

 

まず①について、環境活動家は政府に話が通じそうな欧州にしかいないイメージがあります。

はっきりいって中国が一番環境を汚染していますが、環境活動家が中国に何か政治活動をしたというニュースは聞いたことがありません。

これは別の論点ですが、ここから環境活動家自体もイデオロギーで動いていない事がわかりますね。詳しくは脱線するのでやりませんが。

これをガチ考察するなら、ニュースをサーベイしてその発生点を地図にメモしていって活動範囲を図示するということをやるべきですが、今回はめんどくさいのでやりません。

そういうことをやろうとして頓挫する下書きの記事がたくさんできてしまうので。

軽く調べた感じでは、イギリスを中心とした周囲のヨーロッパって感じですね。ちなみにグレタはスウェーデンです。

 

②について、大手の石油会社かつヨーロッパに所在する企業は

シェル(イギリス・ロンドン)

BP(イギリス・ロンドン)

トタルエナジーズ(フランス・パリ)

レプソル S.A.(スペイン)

であることがわかりました。

 

③について、このような記事を見つけました。

artnewsjapan.com

 

米国の非営利団体、気候変動緊急基金(CEF)は、ゴッホの《ひまわり》にトマトスープを投げつける抗議を行った環境活動団体、ジャスト・ストップ・オイルに資金援助をしている。実はCEFの共同設立者の1人は米国の有名な石油王の孫娘、アイリーン・ゲティだ。

 

ジャスト・ストップ・オイルはこの記事の序盤にも出てきた環境活動家団体ですね。

アイリーン・ゲティは石油王の孫娘だそうで何かしらのつながりがありそうです。

その石油王である祖父のジャン・ポール・ゲティを調べていると(例によってWikipedia)気になる箇所がありました。

 

生前は世界的な美術品のコレクターとして知られ、1971年に孫のジョン・ポール・ゲティ3世が誘拐された時も、身代金は支払わずに美術品を買い漁るほどの熱の入れようだった。

ジャン・ポール・ゲティ - Wikipedia

 

つまり、兄弟が誘拐されたにもかかわらず絵画にうつつを抜かすジャン・ポール・ゲティに対し、孫のアイリーンは「絵画」と「石油」に対して憎悪を抱いていた。

なので、美術館と石油会社を同時に攻撃できる(かつ合法に)手段として環境活動家という道具を見つけたのではないでしょうか

という星座を描けそうです(点と点から勝手にストーリーを紡ぐ比喩)

 

したがって、「芸術作品を汚す環境活動家達は石油会社に雇われたペイドアクター(やらせ)」だという説は45.45%ほどあるのではないでしょうか。

 

本来であればこの工程をフェーズ4、フェーズ5……と繰り返していくことで、熱い鉄を打って刀を鍛造するようにして理論武装するための武器を強化していきますが、記事書くのに疲れたし、いい感じのオチがついたので切り上げます。