はなくそモグモグ

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仮想通貨についての私見 ② ~ブロックチェーンについて

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(10680文字)

 

 

 

こういう事件が起こると「仮想の存在しないモノに金が動くのはおかしなことだ」みたいなことを言って俺賢いぜ感を出す人がすごくムカつくんですよ

仮想通貨まぁまだまだ制度上の問題があるから別としても、中国みたいにキャッシュレス社会にしようと日本に電子決算導入しようとしている時に同じこと言う奴いるでしょ

 

そもそもお金とは何か、という答えは「クレジット(信用)」で

「何とでも交換できる」という信用こそがお金の正体であってその媒体は関係ない

 

鎖国していた当時の日本の通貨である金貨とか銀貨っていうのは「通貨としての価値がなくても金として売れる。銀として売れる。」っていうのが信用の裏付けだったのだけれど(金本位制

金貨を大量に持ち運ぶと当然重たいし強奪されるスキを生むので信用できる誰かが金貨を預かって「そこに預けているAさんの金貨10枚はBさんの所有物になりました」みたいなのを紙でやりとりされてたんですよ

そのやり取りしていた紙が今の紙幣で

もう我々が財布に入れて所有している紙幣と銅ベースの合金でできた硬貨何枚かっていうのはすでに「仮想の存在しないモノ」なんですよ

そして、銀行が「引き出したいときにいつでも引き出せる」という信用によって預金という概念を成立させていますが、実際銀行にお金を預けている人間全員が「引き出したい」と言っても引き出せるだけの金は銀行にはない。

※物質としての通貨の10倍ものデータ(数字)が銀行間をやり取りしていると言われています。(ソースは中学の時の教科書)

 

つまり金の価値はすでに概念の中に融和して「価値がある」という幻想だけで社会は成り立っていて、アメリカ憎しでテロ起こしたビン・ラディンですら米ドルを使っていたし(米ドルに価値があると認めている)集団のなかの社会通念や、宗教的な思想よりもお金に対する空想の秩序の方が強い

紙きれを渡せば金や銀が戻ってきた時代と違ってこの人間に根付く強い幻想だけがお金の価値の最後の拠り所なんすよ

だから「電子決算とか信用できな~い」とか言いながら銀行口座をチェックしてるのはその本質を理解していないんですよね。

 

もうすでに金という概念は「仮想の存在しないモノ」ベースでしか働かないところまで来てるんだから

 

 

で、その想像上の秩序を唯一支配できるのが通貨発行権を持つ国なんですよ。

具体的にインドが「キャッシュレスにしたいのと、汚い金を一掃したいから高額紙幣(日本で言うと一万円札)廃止するわ!自分の資産ゼロにしたくなければ4時間後に銀行に行ってデータに記帳してね」みたいなことをいきなり言い出したりとか

ジンバブエでは無能な政府がひたすら銀行に金刷らせまくった結果、5000億%のインフレを起こした後「もう無理だからジンバブエドル廃止するわ!明日からそれ紙キレね!」ってなったりする

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100兆ジンバブエドル札、300兆ジンバブエドルで1円相当の価値。もはやギャグ

ちなみに刷るのを廃止したためにプレミアが付いて紙キレとなった100兆ジンバブエドル札一枚が1万円でAmazonに売られているっていう

通貨を廃止した瞬間上限枚数が決まっちゃったために価値が1万倍になるっていう面白いことになってる。

 

このように、中央集権の中央の部分がガバガバガバメントだとガバガバガバナンスに苦しめられるんですよ国民は

あとは札束持ってたら盗まれるとか、印刷技術が発達してなくて偽札作り放題とか、治安が悪いから汚い金いっぱいある。みたいな中央集権以外の問題も抱えてる国とかからすれば仮想通貨っていうのはそれらを救済するシステムなんすよ

 

と同時に通貨発行益を得たい国からすれば「支配が及ぶ範囲が減る」から全力で阻止したいわけで。

エストニアみたいに仮想通貨を国が発行しようとしてるパターンもあるけど

結局PoC(中央集権ベースのコンセンサスアルゴリズム)になると思うね

この《中央集権的な経済の支配からの独立》みたいなのは人類の一つのテーマで、アメリカの初代大統領とかはいかに財閥と戦って「通貨発行権を銀行屋から奪い取るか」という闘争の歴史なんすよ。

リンカーン曰く「私には二つの強敵がいる。南軍とその背後にいる銀行家だ。私にとって最大の敵は銀行家である。そして、戦争の結果で最悪なことは、企業が王座を占めることだ。そうなれば、ひどい腐敗の時代が訪れるだろう。お金の力は、人々の目を騙し、富が一握りの人々に集中し、共和国が崩壊するまでその力を失うことはないだろう」

 

でピケティさんが膨大な金の動きの歴史を追ってデータをかき集めて証明したんですよ意識高い系界隈で人気の本「21世紀の資本論」で

 

資産運用で増える金の割合>働いて得る金の割合

 

r>gで有名な図式ですね。

富が一握りの人々に集中するという構図から逃れられないという資本主義の構造上の欠陥がある、要は金ある人間は恒久に金が増え続けて資本格差は広がり続けるしか無い。

(でも僕は格差がある事自体は別に良いと思ってるんですよ。コーラが一本100円くらいで買えるのは資本格差があるからで、世界中の人間が同じだけ金持ってたらこうはならないですから。

誰かに資本が集中することで「何かがよりリッチにスムーズに供給される構図」が生まれるんで、問題は「金持ってるだけ」のやつが分散投資してるだけで金が永久に増え続けることであって「富が一握りの人々に集中する」事自体は問題ないと思ってます。)

でこれをr≦gに持っていかないと、資本主義は機能しなくなるんですよね。永遠に富が富に収束しますから。

でも歴史上r≦gになる時があるんですよ、戦争でまるまる財産が破壊されたときです。でも知的生命体としては何とか知的な解決手段を講じたいところですが。。。

 

だから現代社会に求められる課題っていうのは「資本主義をやめる」か「技術の発展がそれすらも解決する」の二択なんですよ。

まぁぶっちゃけ、世界中すべての人がパンと水と医療を受ける権利と後は文化的な生活を営む程度のお小遣いが手に入ればどれだけ格差があってもいいとは僕は思うんですけどね。

仮想通貨はこの後者になりうる技術のはず(現時点では先行者利益の強い投機商品でしか無いんですが)

 

こんな感じで資産運用で儲けるのが一番強い構図になってるその根本は企業の力が強すぎることにあると僕は勝手に思ってるんですよ。

要は「めちゃくちゃ売れる漫画を書いた人」がいたとするじゃないですか、すると自動的に「契約してた企業も儲かる」みたいな構図があることが問題で。社会を巻き込むレベルの何かを生み出した人のパテントが全部企業に吸収されてる。「この会社であなたが生み出したものは全て会社に帰属します」みたいな。

だから極端な話「何かを生み出した人に強制的に特許が固定される」みたいになると、経済の海の渦潮の発生箇所が流動的になると思うんですよね

 

まぁわかりやすく仮想敵を決める例えをします

・良い曲を作るアーティストAさんがいます

・でもその人の曲の売り上げや権利はB社が管理しています

人々はAさんの曲を買うのですが売り上げの半分はB社が中抜きし、かつ売り上げの管理もB社が行っているのでAさんは自分の給料以外に具体的にどれだけ売れているかわかりません。

このような搾取の構図がそのまま経済格差の原因だと思うんすよ。

 

しかし、そこにブロックチェーン技術がメスを入れるんですよ。

 

・良い曲を作るアーティストAさんがいます

・でもその人の曲の売り上げや権利の契約はブロックチェーン上で行われます。

 

こうなると曲を買った時点で「この曲のバンドは作曲者に5割、ボーカルに3割、ギターに2割」って決められてるからこの通りに収益を分散されるよみたいな計算が瞬時に行われて、中間搾取がない状態で作曲者に支払われる。

といったことが行われる

https://ujomusic.com/

そういうサービスがこれなんですけど

 

じゃあそもそもブロックチェーン技術とはなにか

ブロックチェーンっていうのは簡単に言うと「台帳を皆で管理する仕組み」のことです

P2Pの延長線上の技術なんですが、要はtorrentみたいなのを想像すればわかりやすいんじゃないでしょうか。

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例えばこういう画像があったとして

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従来のインターネット通信だと、このようにサーバーが中心になってパソコンの「この画像をくれ」というリクエストに応じて画像データを送るんですが。

これだと一度にたくさんのアクセスが有るとサーバーに負荷がかかったり、ココがサイバー攻撃だったり物理的なテロで落とされるとデータの配信ができなくなる問題がある。

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P2Pネットワークと言うものが開発された(Peer to Peer→P to P→P2P

これだとネットワークの人数が大きくなるほど、自分が発信するデータ量は少なくなりつつデータを受け取ることが出来る。故に「ファイル共有」と呼ばれる

で、この方式だとファイルの不変性みたいなものがある程度保証できることがわかった。

前者の例だとファイルの発信してる側が故意にファイルを書き換えるとそのまま配信されてしまうということがおきる、この画像だと写真に映る女性の顔に後からぼかしを入れると元の画像を手に入れるのはたまたま初期に画像をDLしていた誰かにお願いするしかない。

しかし、P2Pネットワークだと誰かが画像を改変しても残りのパソコンには元のデータが残っていますから元の画像を手に入れることはたやすく、あとは一つのパソコンにアクセスができなくなる状況(サイバー攻撃やテロ等で)でも他のパソコンが機能していればファイルを手に入れることができる。

 

これはファイル共有だけじゃなくて、電話回線もそう。

電話回線も 自機→電話会社→多機 で回線が繋がっていて、多数の電話が錯綜すると真ん中の部分に不可がかかって繋がりにくくなったりするのを

SkypeやLINEは上記のようなP2P方式で繋がる。

 

これを利用して「取引データ」を記録しようと考えたのがブロックチェーンの始まり。

取引の記録(台帳)をP2Pで管理すれば捏造のない台帳を作ることが出来る、しかしそうなると歴史の教科書が延々と分厚くなるように管理すべき台帳のサイズもどんどんでかくなる

結果100TBの台帳を皆のHDDに保存してね。なんて言えないわけで

そこで「一定量の情報をブロックにして管理する」という発想が出てくるわけです。

歴史の教科書が辞書のように重くなって持ち運びできなくなっても、そこに全てのページにページ番号を割り当てれば

ページがバラバラになっても元に戻せるように

 

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こんな感じで一定量の取引データをブロックにして確定させて、それを次につなげていく。そうすればブロックを捏造すれば前後と合わなくなったり

そのブロックを複数が管理していればP2Pと同じ構図になる。

で、これを勘違いしている人が多いんですが本来ブロックチェーンっていうのは分岐する構造なんすよ。

 

仮想通貨においては台帳が分岐することはありえないので、分岐した台帳のどっちが正しいかを決めて「一本道にしなければならない」という問題がある。

 

例えば

①Aさんは100円持ってます

②100円をBさんに渡しました

③100円をCさんに渡しました

ここの②と③が分岐するのはおかしいですよね?

Aさんは100円しか持ってないんですから。

だからこの時②か③どっちかが正しいという判断が必要なんですよ。

 

本来これは国の中央銀行が判断して台帳を付けてるんですが(中央集権構造)でも銀行が横領しただのみたいなニュースがある中で、ずっとこれを信用し続けるのか

というのが仮想通貨の発端で

「ここの正しさを誰が決めるのか」が仮想通貨におけるブロックチェーンの本質なんですよ。

正しい取引の方向に判定する構図じゃないといけない。

 

 

それをコンセンサス・アルゴリズムっていうんですが

 

この場合「多数決」にすれば正しさを確保できますよね

①Aさんは100円持ってます

99人の人が「②100円をBさんに渡しました」だと主張している

Cさん一人は「③100円をCさんに渡しました」だと主張している

 

こうなると②と③が分岐しているのはCが嘘をついているからだ。となるのは明白です。

でもインターネットだとそれが成り立たない

インターネットにおける個人っていうのはIPアドレスのことを指すので、IPアドレスをいっぱい保有しているやつとか他の端末をハッキング出来る人は数をごまかせる

 

10のIPアドレス「②100円をBさんに渡しました」だと主張している

90のIPアドレス「③100円をCさんに渡しました」だと主張している

 

こうなると③が正しくなるけど、実は90のIPアドレスは全てCさんが操っている。

ということになる。

 

これに対する答えがPoW(Proof of Work、プルーフオブワーク)という発想。

IPアドレスにつき一票》だと悪意あるクラッカーに負けてしまうので《CPUにつき一票》という多数決を取る。

 

例えば、お母さんが息子(兄)におつかいを頼むとする。

 

にんじん  3

紅しょうが 1

たまねぎ  2

豚肉    1

 

便宜上個数で書く

そして、兄は弟におつかいを強制する

 

にんじん  3

紅しょうが 1

たまねぎ  2

豚肉    1

チョコ   1

 

ここで自分の食べたいチョコを追加して弟をパシらせれば、チョコを簡単に手に入れられてしまう。

この構図は食品偽装とか政治家の不正経理という形で現実にもあることです。

 

ここで「ハッシュ値」という概念が出てくる

ハッシュ値というのは「にんじん→9847a602095b892ebb57716019af4dca」みたいなでたらめな数値のことなんですが、この《でたらめさ》は決まってるんです

「にんじん」と打てば必ず「9847a602095b892ebb57716019af4dca」が出力されます(ちなみにハッシュアルゴリズムmd2です

でも逆はわからない。

「1d0f2864a2f326ccc1f0b79ab220abf4」←例えばこれは僕のペ二スのサイズですが、ここから具体的な数字を求めることはできない

という不可逆性があります

 

じゃあ話を戻して

 

にんじん  3

紅しょうが 1

たまねぎ  2

豚肉    1

 

これをハッシュ化します、今回は話がややこしくなるので、実際のハッシュ値は求めずに「頭文字+個数」を羅列します

「にんじん2つ→N2」とすると、上のおつかいメモのハッシュ値

「N3 B1 T2 B1」となります。

 

しかし実際のブロックでは

 

にんじん  3

紅しょうが 1

たまねぎ  2

豚肉    1

「K1 J3 M1」

 

こんな感じで、ブロックにハッシュ値が埋め込まれてます

そうです「K1 J3 M1」とは《前回のおつかいメモのハッシュ値》なのです。

しかし、ハッシュ値だけを見ても前回のおつかいメモの内容は理解できません

(今回はわかりやすくハッシュ化してるので逆算できちゃいますが)

これを解くには

 

「にんじん3つとたまねぎ1つとキャベツ2つじゃね?」

→ハッシュ化「N3 T1 K2」ドン! 

「K1 J3 M1」と違った!じゃあ「レタス2つとナス2つと白菜1でどうだ!」

→ハッシュ化「R2 N2 H1」ドン!

「K1 J3 M1」と違った!ry

 

っていうのを総当りで計算していくしかないんですよ

そこで「キャベツ1 じゃがいも3 マヨネーズ1 でどうだ!」

→ハッシュ化「K1 J3 M1」ドン!

「K1 J3 M1」と一致した!

じゃあ前回のおつかいは「キャベツ1 じゃがいも3 マヨネーズ1」だね!

って最初にたどり着いた人が、弟におつかいを委託する権利を得るんです。

この「キャベツ1 じゃがいも3 マヨネーズ1」をナンスと呼びます。

 

要はこういうことです

母は弟におつかいを頼みます。

 

にんじん  3

紅しょうが 1

たまねぎ  2

豚肉    1

「K1 J3 M1」

 

誰かこのメモを弟に伝えてください。

でも「K1 J3 M1」を最初に解いた人だけが弟に伝える権利があります。

伝えてくれた人にはおこづかいをあげます。(マイニング報酬)

 

「K1 J3 M1」を 姉、妹、兄 が解こうとします。

姉、妹は単純におこづかいがほしいので「K1 J3 M1」を解きます。

兄はおこづかいメモにチョコを捏造するために「K1 J3 M1」を解こうとします。

 

兄と姉の計算スピードは同じ、妹は彼らの半分のスピードだとします。

 

単純計算で「K1 J3 M1」を解く確率は

兄 40% 姉 40% 妹 20% で

 

たまたま兄が先にマイニングに成功して「マイニング報酬」と「弟におつかいを伝える権利」を得るとします

 

にんじん  3

紅しょうが 1

たまねぎ  2

豚肉    1

チョコ   1

 

という風に改ざんして、兄は不正にチョコを手に入れることができました。

しかし次の日、また同じように母がおつかいを頼みます

 

しょうゆ 1

ポンズ  1

「N3 B1 T2 B1」

 

ここで姉がマイニングに成功すると

「にんじん3 紅しょうが1 たまねぎ2 豚肉1」が「N3 B1 T2 B1」という数値になったので「そこにチョコが含まれていない」ことがわかります

(実際のこのハッシュ値は他の取引データも暗号化されたものになってるので、取引データを改ざんすることは不可能)

こうなると兄の不正がバレてしまうので

兄は今回は全力でマイニング成功させます

 

兄「よし・・・

「にんじん3 紅しょうが1 たまねぎ2 豚肉1」で「N3 B1 T2 B1」

マイニング成功や・・・!」

 

兄「どうやら俺が一番のようだな、どうやら機能の取引は

「にんじん3 紅しょうが1 たまねぎ2 豚肉1 チョコ1」

だったようだで」

 

と嘘をつきます。

でも、姉は不審に思い一度解かれたおつかいメモのハッシュ値を総当りして

「にんじん3 紅しょうが1 たまねぎ2 豚肉1」を見つけます

 

姉「チョコ1は不正経理よ!」

 

ブロックチェーンを分岐させます。

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こんな感じで内容の異なった台帳が分岐することになります。

ブロックチェーンそのものはこのように分岐することもありうるシステムなんですが、これをお金のやり取りに応用するとなると「分岐してることはありえない」わけです

故に、兄か姉妹チームのどちらの台帳が正しいかというのは

台帳の「長い方」が採用されます。

このブロックを繋ぐ作業はさっきのようなナンスを見つける作業ですよね。

 

で、ナンスを見つける確率は

兄と姉の計算スピードは同じ、妹は彼らの半分のスピードなので

ナンスを見つける確率(ブロックを繋ぐ確率)

兄 40% 姉 40% 妹 20% です

これをチーム分けすると

兄  40%

姉妹 60%

で姉妹チームの方が計算が早いことになります。

すると

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このように段々と台帳に差がでてきますよね。

兄の1.5倍のスピードで総当り発掘をしているので、じゃんけんを100回やるのと150回やるのと勝ち星はどっちのほうが多いですかという感覚に似てます

なので天文学的に運が良ければ100回の時の勝ち星のほうが多いかもしれませんが、じゃあ残り9000回と14850回やってみてどっちの勝ち星のほうが多いか?

というと兄は今後確実に負けるんですよ。

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そこでPoWの「台帳の《長い方》が採用される」というルールが生きてくるわけです。

具体的には6つのブロックを先に繋げたほうが

どちらが正しいかというのを「計算量の多い方」で採用しているので、この場合は姉妹チームが正しいことになり、兄の持っていたチョコは消えてしまいます。

兄がチョコを不正に手に入れるには、チョコを捏造した後にブロックチェーンレースに勝ち続けなければならないんですよ。

つまり、このシステムで不正経理をするには、他の人間全員が持っているコンピューターより多いコンピューターを確保して計算し続けなければならない。ということになる。

この例でいくと、兄はクラスメイトを雇って計算させて姉妹チームより早く計算し続けなければならない。

でもマイニング報酬は最初にナンスを見つけた一人にしか与えられませんから、計算係を雇えば雇うほど報酬が分散して少なくなる

つまり、チョコを捏造するためのコストというのがどうしてもでかくなりすぎる仕組み

これこそが台帳を不正に書き換えられないPoWの存在意義です。

 

前回の記事で「無駄な計算を多くしたほうが勝ち」と表現したのはこういうことです。

結局姉がナンスを見つけてマイニング報酬を受け取れば、妹がやった計算というのは実質無駄になるわけで、計算機が増えれば増えるほど無駄に計算することになる機械が増える。

これにかかる電気代というのはすごく無駄になるんですよね。

この資源の無駄遣い感がPoWの欠点の一つです。

 

二つ目はナンスを見つける総当り計算に時間がかかって最速でも1ブロック作成に10分かかることになります。これがビットコインの送金時間が10分である理由なのですが

1ブロック作成する処理の時間よりも早く取引の量が増えてしまうと、いわゆる渋滞が起きるわけです。10台の車が信号を通る間に11台の車が後ろについてしまうとどんどん車の列はでかくなっていく。

そんな感じで、取引データがブロックに詰め込めなくなる問題をスケーラビリティ問題と言うのですが、1ブロックを1MB→2MBにするだとか取引データを圧縮すると言った解決策が提案されていますが全員の合意を得ていません。

これはどの仮想通貨も必ず直面する問題です、円やドルの替わりとして使おうとしているものですから、これらのように一日に国中で発生する金の動きを全て記録しなければならない

銀行が3時に閉めてやっている膨大な照会作業を仮想通貨が代替するためには

「完全な正確性が確保されて」「かつスピーディ」な処理は必須なんですね

 

三つ目は悪意ある集団が51%の計算能力を手に入れた場合です

先ほど決算台帳を捏造しようとした兄が姉妹チームよりも多い計算能力でブロックを繋げてしまえば、捏造が正義になります。

51%の計算能力を手に入れると、正しい決算をしている善良な方よりも早くブロックをつなげるので捏造し放題に、まぁ毎回捏造チェーンを6つ繋げることはできないですが

 

2回に1回は不正経理が通ってしまうことになります。

計算能力が25%とか10%のやつがたまたまナンス取っちゃって不正をした。とかだとペナルティを与えられるんだけど

「無駄な計算をしたほうが正義」のルールだと49%のブロックと51%のブロックでどっちが正しいか何てことはわからないわけで

結局この計算量は計算機を動かせる電気代に比例するので、電気代の一番安い中国が有利で、結局マイニングのために計算機を導入すればするほど中国が50%取れるという構図になっている。

これが「51%問題」これはPoWだけでなくコンセンサスアルゴリズムというルール内で50%の票を取ってしまえばそれが正しくなってしまうという仮想通貨のリスクの問題。

 

だから結局、非中央集権型の通貨を作りたいという発想で生まれた仮想通貨だけど

50%の計算力を持ってしまった人が台帳を管理するので、結果的にはコンピューターを一番たくさん導入した集団による中央集権型に収束してしまうリスクがあるのがPoW

 

とりあえずこの「無駄な計算をやめよう」というので

(50%の取り合いになったら電気代がクソほど無駄になるので、中国ではマイニングを法律で禁止している)

「無駄な計算をしたやつがブロック作成権を得るPoW」に変わって

 

PoS、とかPoIとかPoCとか色々あるんですけど(前回の記事参照)

僕が面白いなと思ったのはプルーフオブワークのワークを有意義な計算に使うという発想「大学とか研究機関がスパコンとか使って演算するような問題」をマイナーに解かせる

これだと計算に使う電気代はバカにならないのは変わらないけど計算したことが無駄じゃなくなるっていう発想はオモシロイと思った

プルーフ・オブ・◯◯←これに何入るか忘れた。

 

要は分岐するブロックチェーンのどの筋が正しいものなのかを判断する仕組み

このコンセンサスアルゴリズムの最適解を見つけることができれば

国によるメディアの支配からインターネットがそれを開放したように、仮想通貨による中央集権的な経済体系の開放っていうのは、国という存在の力を薄めていくための革命の一つで

今インターネットが普及した時のようなテクノロジー革命が起こりつつあるんすよ。フィンテック(Fintech)が英単語帳に載る時代も近いと思うんすよ

 

 

 

ブロックチェーン技術の可能性

 

上記のように合意形成(コンセンサス)アルゴリズムの最適解が見つかれば、お金の決算だけじゃなくて他のことにも応用できる。

要は「悪意ある人間によって書き換えられない」「かつ複雑な計算が一瞬でできる」台帳なので、権力者の悪巧みや仲介業者を排除した台帳の管理ができる技術のこと。

あとはスマートコントラクトと言って「契約」をブロックチェーン上で管理することもできる。

 

例えば、食品の流通経路を管理する台帳とかね

外国産 → 食品加工会社が国産と書き換える → 国産と表記

みたいなことが起こりうるのが、ブロックチェーンだと書き換えできない取引の中で流通される。現に海外ではこれが起こっている(アメリカのウォルマート等)

 

あとは農作物の生成された土壌や肥料のコンディションを職員がチェックしてブロックチェーンで書き換え不可にするサービス(シビラ株式会社)

 

とかさっきも書いた音楽の著作権管理(https://ujomusic.com/)だとか

 

医療のカルテももう導入しているところがあるみたいですね。

 

 

あとは政治家の経理の書類とかもブロックチェーンで管理すればいいし、あとは履歴書なんかも「成績証明書はブロックチェーンで」って言えば経歴詐称もできなくなる。

僕的には国民投票とかもスマートコントラクトでやってほしいですけどね。

あとレシートとか領収書もスマートコントラクトにすれば、脱税防止にもなるし。

 

まぁ日本だと紙を崇める宗教勢力が強すぎて、ここまで進歩することは中々無いでしょうが海外もやってるから教の勢力が勝つことを祈るしか無いですね。

 

僕的にはとりあえず財布持たなくていい社会になって欲しいんですよ。

外行くのに携帯だけで十分、みたいな。